4号機への放水

<4号機への放水>

4号機の使用済み核燃料プールは、福島第一原発の中では一番大量の使用済み核燃料を貯蔵していたので、事故当時から原発に関係している多くの人々ならびに事故に関心を寄せていた多くの国民から、注目されていた。外国の各政府関係者、特にアメリカ政府と原子力規制委員会は、注視していた。このプールの事故推移いかんによっては日本国の機能麻痺をも危惧されていたからである。事故当時の対策は、この4号機使用済み核燃料プールの核燃料の発熱を抑え、核の熱暴走による壊滅的放射線被害をいかに防止するかにかかっていたからである。

事故当時どのような対応が行われていたのかを調べてみた。主に使用済み核燃料プール(SFP)への放水(注水)と、それに関係するプール水の蒸発による”白煙”についてである。

この放水(注水)については東電が発表している。
(注)3/20〜7/31までのデータは東京電力の福島原子力事故報告書(中間報告書)(tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/111202f.pdf)からコピーした。

「4号機SFPの評価結果」グラフによると4月22日までは、下記のように経過した。

3月12日 

3月13日

3月14日 △4号機破壊前に白煙上がる。

3月15日 4号機で爆発音。      

経済産業省、消火を米軍に依頼。      

★東京電力、米軍に消火活動を要請。      

経済産業大臣、東京電力に対し、原子炉等規制法により福島第一原発4号機の燃料プールの消火に努めるよう要請。

3月16日 経済産業省、西山英彦審議官談。「確実に沸騰している(使用済み核燃料プールが)」     

午後(4時頃)3号機へのヘリコプターによる放水のための線量確認の際に、4号機のオペレーティングフロア近辺にまでヘリコプターで接近。このとき同乗の東電社員が燃料プールに「水があることを確認」する。

△3/16 プール付近から白煙

△3/16 2、3号機から白煙、4号機はわずかに出ているかなという程度(デジタルグロー ブ社写真)

3月17日 3号機へ自衛隊ヘリコプター海水投下。このとき4号機にも投下。(NHKテレビ)

△3/17 すでに破壊された4号機から白煙はみえない。(NHKテレビ)      

★ アメリカエネルギー省、放射線量を測定。(17〜〜19日)

(注)3号機へは3/17〜20 4日間で2,600トン、25日まで計4,050トン(9日間)放水した。

★4号機の水の蒸発がわかる白煙について調べてみると、意外に思われるがその量の少なさに気がつくであろう。テレビ映像、ユーチューブ映像によるものである。この白煙は使用済み核燃料プールの温度(状態)を知る上で重要な存在であるにもかかわらず、ほとんど報道されていない。白煙があれば、水が存在している証拠であり、なくなれば、温度が下がってプールの状態が改善されたかのどちらかであり、重要な情報源である。黒煙であれば火災が発生していることがわかる。TBS JNN YOUTUBE5/20〜の映像参照のこと。

★4号機への放水(注水)については、東京電力発表の資料に基づいている。

◆3/20 8:20 救難消防車 82トン(自衛隊、東電)(2011,3,21読売新聞) (3/20 8:21〜9:40 自衛隊高圧放水車 真水80トン 東電)

◆3/20 18:22 救難消防車 82トン(自衛隊、東電)(2011,3,21読売新聞) (3/20 18:30頃〜19:46 自衛隊高圧放水車 真水80トン 東電) △3/20 プール付近から白煙(NHK4/10ニュース)

3/21  6:37〜8:41 自衛隊高圧放水車 真水90トン ★3/21  8:38〜8:41 米軍高圧放水車 真水2.2トン

3/22  17:17〜20:32 東電コンクリートポンプ車(58m級) 海水150トン

3/23  10:00〜13:02 東電コンクリートポンプ車(58m級) 海水125トン

3/24  14:36〜17:30 東電コンクリートポンプ車(58m級) 海水150トン

3/25  6:05〜10:20 FPC(*)(燃料プール冷却浄化系) 海水21トン

(*)FPCとは燃料プール冷却浄化系のことを言い、使用済燃料貯蔵プールに保管された燃料から崩壊熱を除去するための装置。

★既設の燃料プール冷却浄化系配管から注水を実施。配管の抵抗大きくほとんど注水されないと判断。

3/25  19:05〜22:07 東電コンクリートポンプ車(58m級) 海水150トン

3/27  16:55〜19:25 東電コンクリートポンプ車(58m級) 海水125トン

△3/27 東電コンクリートポンプ車アーム付近から白煙

3/30  14:04〜18:33 東電コンクリートポンプ車(58m級) 淡水140トン

4/1  8:28〜14:14 東電コンクリートポンプ車(58m級) 淡水180トン

4/3  17:14〜22:16 東電コンクリートポンプ車(58m級) 淡水180トン

4/5  17:35〜18:22 東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水20トン

4/7  18:23〜19:40 東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水38トン

4/9  17:07〜19:24 東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水90トン

★水位計測、温度測定及び燃料プール水の核種測定。

水位TAF(*)約+2m、 温度 90℃、 セシウム137(半減期約30年)93Bq/cm3、よう素131(半減期約8日)220Bq/cm3「通常は検出されない」。原発建屋が破壊しつくされた状況では、信じられない小さな汚染レベルであることに、注目する必要がある。表1,2参照

(*)TAF Top of Active Fuel のことで、燃料集合体のうちペレットが存在する一番上部のこと。有効燃料頂部。

4/13  0:30〜6:57 東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水195トン

4/15  14:30〜18:29 東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水140トン

4/17  17:39〜21:22 東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水140トン

4/19  10:17〜11:35 東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水40トン

420  17:08〜20:31 東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水100トン

4/21  17:14〜21:20 東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水140トン

(注)この日まで、DSP(*1),原子炉ウェル、SFP(2,865?)すべてに放水していた。

4/22  17:52〜23:53 東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水200トン

★4/22  使用済み核燃料プール水位 TAF上+1.7m 

★東電が発表している「4号機SFPの評価結果」グラフ(福島原子力事故調査報告書の添付資料、2011.12.2.)では、この日、「プール水位回復以降ゲートが密閉されると仮定」している。SFP(*2)に注水する状態に変わる。

(*1)DSピット普通機器貯蔵プールという。定期検査中に圧力容器(原子炉)内にある蒸気乾燥機(Dryer)、気水分(Separater)を保管するためのスペース。シュラウドもここに取り出され小片に切断される。炉内の中身が取り出されると、圧力容器は水が抜かれて再構築される。

(*2)SFP 使用済み核燃料プールのこと。

(注)4号機SFPの評価結果を「評価」するの項を参照のこと

4/23  12:30〜16:44 東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水140トン

4/24  12:25〜17:07 東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水165トン

/25  18:15〜4/26 0:26 東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水210トン

4/26  16:50〜20:35 東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水130トン

4/27  12:18〜15:15 東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水85トン

★4/27  SFPの満水を確認する。(スキマサージタンク(*3)の水位上昇から判断した。)

★4/27  原子炉ウェル(*4)側の水位を、事故以来初めて計測することができた。  

(*3)スキマサージタンク 使用済み核燃料プールからオーバーフロー水を受け止めるタンクのこと。プールの水は、核燃料集合体の冷却に使われ、このタンクへオーバーフローさせられる。そして熱交換器及びフィルタを通し不純物を取り除いた後、再び使用済み核燃料プールへ戻される。この冷却サイクルができないため、核燃料体が空気中に露出しないように蒸発して減少したプール水を、コンクリートポンプ車を使って直接プールに放水している。
 

(*4)原子炉ウェル 原子炉(圧力容器)の上部に設けられている一種のプール。核燃料取り出し、その他炉内構造物をDSピットに取り出すときに水を張った状態で、それらの作業をする。炉内構造物は放射線量が極めて高い値のものであるため、大気中では取り扱えない。構造が井戸に似ているため、この名前がつたと思われる。

4/28  11:43〜11:54 東電コンクリートポンプ車(62m級)(水位計測)

4/28  11:55〜12:07 東電コンクリートポンプ車(62m級)(サンプリング)

★4/28  (核)燃料がラック内に収納された状態が維持されている。(破損などがない)

プールゲートが健全である。(使用済み核燃料プールと原子炉ウェルを繋ぐ水門=原子炉からプールへ核燃料を移動するときに開く。)

4/29  10:29〜10:35 東電コンクリートポンプ車(62m級)(水位計測、温度測定)

4/30  10:14〜10:28 東電コンクリートポンプ車(62m級)(水位計測、温度測定)

5/1  10:32〜10:38 東電コンクリートポンプ車(62m級)(水位計測、温度測定)

5/2  10:10〜10:20 東電コンクリートポンプ車(62m級)(水位計測、温度測定)

5/3  10:15〜10:23 東電コンクリートポンプ車(62m級)(水位計測、温度測定)

5/4  10:25〜10:35 東電コンクリートポンプ車(62m級)(水位計測、温度測定)

★4/28〜5/4の間は放水(注水)なし。

5/5  11:55〜12:05(水位計測、温度測定)12:19〜20:46(放水)東電コンク リートポンプ車(62m級)270トン

5/6  12:16(水位計測、温度測定)12:38〜17:51(放水)東電コンクリートポンプ車(62m級)淡水180トン

5/7  11:00(水位計測、水中撮影、サンプリング)14:05〜17:30(放水)東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水120トン

5/9  16:05〜19:05 (放水)東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水100トン

5/11  16:07〜19:38 (放水)東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水120トン

5/13  16:04〜19:04 (放水)東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水100トン

5/15  16:25〜20:25 (放水)東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水140トン

5/17  16:14〜20:06 (放水)東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水120トン

5/19  16:30〜19:30 (放水)東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水100トン

5/21  16:00〜19:56 (放水)東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水130トン (ヒドラジン注入)          

5/23  16:00〜19:09 (放水)東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水100トン

△5/23 白煙を放出している。(TBS/JNN youtube Iucawhitefieldhixson.com)

5/25  16:36〜20:04 (放水)東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水121トン

5/27  17:05〜20:00 (放水)東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水100トン

5/28  17:56〜19:45 (放水)東電コンクリートポンプ車(62m級) 淡水60トン

6/3  14:35〜21:15 (放水)東電コンクリートポンプ車(58m級) 淡水210トン

6/4  14:23〜19:45 (放水)東電コンクリートポンプ車(58m級) 淡水180トン

6/6  15:56〜18:35 (放水)東電コンクリートポンプ車(58m級) 淡水90トン

6/8 16:12〜19:41 (放水)東電コンクリートポンプ車(58m級) 淡水120トン

6/13  16:36〜21:00 (放水)東電コンクリートポンプ車(58m級) 淡水150トン

6/14  16:10〜20:52 (放水)東電コンクリートポンプ車(58m級) 淡水150トン

★この日までは、応急的な措置として、原子炉建屋屋上部の開放部からの仮設ホースを用いた注水により、使用済燃料貯蔵プール水蒸発量を補う水(淡水)を外部から間欠的に供給した。

6/16  

★この日から仮設の燃料プール注水設備による注水を実施。以降7/31まで、この設備により280トンを注水した。(6/16〜30までに250トン注水している。ということは、7月にはほとんど注水していないということであり、これでいいのか?) (1F事故報告書より)

ここより<DSPと原子炉ウェルについての記述になる>

「DSP機器仮置プールの水位低下があった。」 6月19日定期検査中に原子炉機器を仮り置きする「DSピット」と呼ばれるプールの水位が低下し、露出した原子炉機器から強い放射線が出ている可能性があることが判明した。 東電は19日ピットに約80トンの水を注入。今後約1,000トンを注入する方針。 (sankei.jp.msn.com/affiairs/news/110619/dst11061921080017-n2.htmより) この記述はおかしい。2011年12月2日公表の「4号機 プール評価結果」では4月22日に水位測定していて、このときの水位が核燃料体頂部より1.5mであ ることがわかっていたのであるから。4月の事をなぜ6月に手当てするのか、理解できない。しかもその水位の値も異なっていることを考えるに、東電は場当たり的に事を進めているのか自分の都合で事を進めているのか?
「1F原子炉ウェル及び機器貯蔵プールへの注水について」の図ではDSP-WELLの水位は2.8mとなっているが「4号機 プール評価結果」では満水時より5.5m水位は低下したので2.1mにならなければいけない。なぜならDSPの深さは 7.6mであるから。

(1F事故報告書) 6/19 DSピットに収納されている炉内構造物からの放射線量を抑える目的で、原子炉ウェル、DSピットへの原子炉内中性子モニター(In Core Monitor)(*)配管から注水を実施した。

「1F原子炉ウェル及び機器貯蔵プールへの注水について」 (tepco.co.jp/nu/fukushima-np/images/handouts_110620_02-j.pdfより) 平成23年(2011)6月20日付 原子炉下部ICMハウジング(*)からの注水図が報告されている。

?このことが理解できない。DSPに注水するのになぜ圧力容器の底の部分から水を注入しなければいけないのか。上部は原子炉ウェルでもDSPプールでもどこから注水しても、その目的は達成することができるにもかかわらず、わざわざ細いチューブ(見たことはないが圧力容器の大きさと比べて)みたいな管から入れる理由はないと思う。 (*)ICM(In Core Monitor)とは、炉内中性子測定パイプ部分のこと。原子炉圧力容器下部に溶接固定されている。

★注意 「使用済み核燃料プール」と「原子炉ウェルーDSP」間のゲートは閉じていることになっている。

<燃料プール放水に戻る>

6/16  13:14〜15:44 (放水)仮設放水設備 淡水75トン

6/18  16:05〜19:23 (放水)仮設放水設備 淡水99トン

6/22  14:31〜16:38 (放水)仮設放水設備 淡水56トン

6/29  11:47〜12:01 (放水)仮設放水設備 淡水7トン (リークチェック)

6/30  11:30〜11:55 (放水)仮設放水設備 淡水13トン

7/1〜31の間、注水はほとんどされていない。発表データによれば5トンである。

7/31  8:47〜9:38 (淡水)仮設放水設備 淡水25 トン。この25トンを加えて6/16に記載した280トンになる。

★7/31 12:44 「冷却浄化系」の代替冷却装置による使用済み核燃料プール循環冷却を開始。冷却開始時の水温(プール)は約75℃。8月13日ごろには、通常状態に達40℃程度の水温で安定した状態にある。(熱交換器使用による注水=筆者記入) これは、7月11日の経済産業省原子力安全・保安院の指示に基づいた措置である。

★7/31  使用済み核燃料プール耐震補強工事終了。1本につき40トンの荷重に耐えられる鋼鉄製の支柱を32本設置し、コンクリートで埋める。(朝日デジタル2011,7,30)

この日を以って、使用済み核燃料プールへの注水問題は解決し、年末の原子炉の冷温停止宣言に繋がる。 (tepco.co.jpプレスリリース/ホームページ情報 平成24年(2012)6月23日、午後3時30分)

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